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TOEICで900点超を目指して実践してきた独学勉強方法

目次

はじめに:

私は45歳の時にTOEICで950点を取りました。
帰国子女でもなく、留学経験もなく、大学で専攻した学科は英語と無縁で、就職は日本のメーカーで周囲は日本人ばかり。
一介のエンジニアが、働きながら独学で英語をここまで習得するのはあり得ないことでした。
そのあり得ないことを成し遂げてしまったために、社内的に注目を浴びるようになり、英語勉強法の社内講師を務めることになりました。
その時に出た質問の一つが、「そんな高得点を取るまでに、一体何をしてきたのか?」というものでした。
この記事では、その質問に答えたいと思います。

高校までは文法を真面目に勉強:

「日本人は中学高校と6年間も英語を習うのにしゃべれない」
これは、日本の英語教育に対する国際的な評価であり嘲笑です。
私が通っていたのは進学校でしたが、御多分にもれず実践的な英語教育は皆無でした。
その代わり、英文法はみっちりやらされました。
べつに面白いと思ったことはありませんが、テストや受験を意識して真面目には取り組んでいたのです。
それが功を奏し、文法知識には不安は感じていませんでしたし、今も感じていません。

大学時代はNHKのラジオ英会話:

大学では二十歳前後の4年間を過ごしましたが、学校での授業や研究は工学系の専門科目ばかり。
語学に関しては、一年時に少しやっただけでした。
明確なイメージはありませんでしたが、せっかく学んだ英語がこのまま錆びついていったら将来困るかもしれないと感じ、とりあえずNHKのラジオ英会話を毎日聞くことにしました。
毎日ですが、一回当たり15分程度ですので、本当に短時間です。
でも、英語の表現・発音・単語・文法に継続的に触れることが出来たので、錆びることはありませんでした。
高校では扱わなかった実践的な英会話表現とも出逢うことが出来ました。
大学卒業後はメーカーに就職し、最初の研修期間中に新入社員は一斉にTOEICを受けさせられました。
私とTOEICの初めての出逢いです。
結果スコアは430点程度でした(まだ二十世紀でしたから。形式も出題パターンも旧式です)。
社会人になってからも、2~3年はNHKラジオ英会話を聞き続けていました。
そして、26歳くらいの時にドイツの出張に同行する機会を得たのです。
しかし、ドイツ人という非ネイティブの英会話についていけず、意思の疎通に苦労し、悔しい思いをしました。
毎日とはいえ、NHKのラジオ英会話程度では、ビジネスで不自由しない英語力を身に付けることは無理だと悟りました。

社会人二十代後半でイングリッシュアドベンチャーと出逢う:

もう亡くなりましたが、オーソン・ウェルズという人がナレーションをしているやつです。
新聞の広告をみて、なんとなく始めました。
物語形式なら面白くて長続きしそうだと思ったからです。
CDとテキストが毎月送られてきて、ラジカセで毎日聞いてました。
最初は「追跡(Chase)」というタイトルの物語です。
中級者向けですが、TOEICに比べればずいぶんゆっくりしたナレーションでしたね。
ネイティブの発音や自然な英語表現に触れられだけでなく、英文法も並行して復習できるようになっていたので大分助かりました。
次は「ゲームの達人(Master of the game)」というタイトルの物語に移りました。
上級者向けですが、それでもTOEICに比べればゆっくりしたしゃべりです。
結局24か月分で24枚のCDとテキストを購入し、繰り返し聞きました。
この後、特にTOEIC用の対策はせずに受験したところ、600点位取れました。

社会人30代前半は海外の通信制大学院で学ぶ:

私はもともと心理学に興味があり、放送大学の通信教育で学び大学卒の資格を得ています。
さらに専門的に学びたいと思い、人間行動学の大学院過程に進みました。
その頃、放送大学には大学院が無かったので、アメリカに本拠地がある大学の日本支部に入学しました。
アメリカの大学ですが日本語でレポートや論文を書くことが出来ます。
しかし、教科書は英語で書かれた専門書を読まざるを得ないことが多く、苦労しました。
辞書を片手に単語の意味を調べながら読まねばならないので時間がかかって仕方がありませんでした。
しかし、その地道な努力のおかげで心理学の知識を深めただけでなく、英語力の基盤を強化できたと感じています。

40歳以降に本格的TOEIC対策開始:

勤務先の会社はグローバル企業だったこともあり、社員の英語力強化に力を入れるようになりました。
独学する人のために教材費を補助したり、社内で英会話教室を開いたり、また、希望者は勤務中にTOEICを無料で受験することができます。
とても恵まれていると思います。
その環境をフルに生かし、参考書を買い込み英語の勉強に邁進しました。
TOEICの公式問題集などTOEICに重点を置いた勉強をしたため700点位取れるようになりました。

ジャパンタイムズ購読開始:

自然な英語に日常的に触れることがTOEICには有効だという話を聞いたので、ジャパンタイムズという英字新聞に挑戦することにしました。
日刊だと読むのが大変なので、ウィークリー版の購読を始めたのです。
正直、慣れないうちは大変でしたが、英語学習者向けに解説も載っていたので助かりました。
英字新聞以外にも、NHKのニュースを英語音声に切り替えて聞くことも始めました。
音声はネイティブスピーカーのそれではありませんが、「そうか、英語ではこういう風に表現するんだな」という気づきが多かったと思います。
日本にいながら英語に囲まれた生活をするように心がけていたのです。

英訳のコツを独学:

リスニングやリーディングというインプットばかりではバランスが悪いので、アウトプットの練習も同時並行で進めました。
プロの翻訳家や通訳が、日本語を英語に変換する時のメカニズムに興味があったのです。
最初に日本語の真意を的確につかみ、それから英訳するという作業をしているのですが、その具体的な作業を解説した本を買い込んで、何回か繰り返して読みました。
「同時通訳が頭の中で一瞬でやっている英訳術リプロセシング」というタイトルの本です。
これは、ビジネス英訳の苦手意識を軽減するのにとても有効でした。
頭の中に日本語の回路、英語の回路、そして、日本語と英語を行き来するための回路が出来上がっていきました。
英訳を勉強するうちに、身の回りに溢れている日本語がいかに雑でいい加減で非論理的で分かり難いか再認識するに至りました。
雑な日本語のままでは英訳なんて出来ません。
日本人でも、日本語で言ってる内容の真意を正確につかむのは難しいものです。
まずは、日本語と格闘する必要があるということに気付きました。
そして私自身、日本語のスピーキングやライティングが自然と丁寧になっていきました。
母国語への理解が深まるというのは、外国語を学ぶ大きなメリットだと思います。

英和辞典から英英辞典へ:

「上級者を目指すなら英英辞典は必須」
TOEIC満点ホルダーの人の著書を読んだら、こんなことが書いてあったので、オックスフォードの現代英英辞典(CD-ROM付)を購入しました。
分からない英単語を英英辞典で調べると英語で意味が説明してあります。
最初は抵抗がありましたが、すぐに慣れました。
英文を読んだ時に頭の中で日本語に変換する癖が消え、英文を英語のまま理解することができるようになりました。
なんか、ネイティブスピーカーと同じ感覚を持ってる気がするのです。
英英辞典に一度慣れてしまうと、もう英和辞典に戻る気はしませんね。

アメリカ人の同僚との交流:

グローバル化への対応が流行っているのに乗じて、私が勤める会社も外国人を多く雇うようになりました。
そして一人のアメリカ人男性(アラサー)が入社し、運良く私と同じ部署に配属されました。
その部署では私が一番TOEIC点数が高かったため私と同じグループとなり、席も隣になりました。
彼は日本語を少し喋れましたが、あまり流暢とはいえず、仕事でコミュニケーションをスムーズにするのは難しい状態でした。
そこで、私との会話はすべて英語にしてもらうように頼んだのです。
彼にとってはその方が楽だし、私にとっては英会話の鍛錬になります。
仕事での意思疎通もスムーズに行くので良いことづくめです。
わざわざ留学しなくても、日常的に英会話をする環境が整いました。
結局、アメリカ人の同僚とは約3年半、仕事上の付き合いが続きました。
弱点だったスピーキング力強化に大いに寄与したと思います。
彼は、自分のいる環境が日本人ばかりの会社ということもあり、丁寧な発音・表現を心がけてくれていたと思います。
これがもし、アメリカ人ネイティブだらけの環境だったら、遠慮のないマシンガンスピーキングとなり、私は苦しんでいたかもしれません。

仕事で英訳する機会が増える:

社内で受験するTOEICスコアが上がるにつれ、私の英語力は社内でも評判になり、英語を使う仕事が増えていきました。
日本語の取扱説明書を英訳して海外に対応できるようにする必要があったのですが、私に任せてもらえました。
前述のアメリカ人同僚の力も借りて成し遂げることが出来ました。
朝から晩まで英訳作業をやっていたので、ライティング力の強化になりましたし、それがリーディング力のアップにもつながりました。
自分が書ける英文なら読むのは簡単ですからね。
TOEICはインプット(リスニング+リーディング)ですが、アウトプット(スピーキング+ライティング)をすることでスコアのかさ上げが出来たと思います。

毎日の情報収集は英字新聞で行う:

紙の媒体やWEBの日本語新聞を読むのはやめ、原則、毎日の情報取得手段を英語に切り替えました。
今は、昼休みに会社のPCでジャパンタイムズを読み、分からない単語は英英辞典(CD-ROM)を使っています。
必要な情報の収集と英語学習の一石二鳥です。
TOEICの対策本ばかりでは飽きてしまいますが、毎日の必要な作業であれば永遠に続けられます。
ジムでのトレーニングを止めてしまうことがあっても、毎日の通勤で歩く作業は自然と続きます。
それと同じ原理です。
英語の習得には長期間を要しますから、いかに習慣化してしまうかが鍵だと思います。

リスニング強化は速聴訓練で:

TOEICのリスニングはネイティブスピーカーがかなりのスピードでしゃべりますから、よく聞き取れなかったり、聞き取れても意味が把握できなかったりすることは良くありますよね。
私はその悩みを解消するために、リスニングの負荷を上げることにしました。
通常より速いスピードで再生し、それを聞くのです。
文章の意味を正確に理解し、自分で音読した上で速聴訓練に取り組みました。
早いリスニングに慣れた後で通常再生速度で聞くと、スローモーションに感じます。
これをすることでTOEICリスニングへの苦手意識は無くなりました。
以前は、速聴専用のCD付きテキストを購入して聞いていましたが、今は、PCのWindows-media-playerで再生速度を調整しています。
負荷は、1.4倍速で十分ではないでしょうか。

時間内でTOEICリーディングが解き終わるために意識したこと:

私は性格的にマイペースなこともあり、TOEICのリーディングパートが時間内に解き終わらなくても、「問題量が多すぎるのが悪い」と思っていました。
しかしそれは間違いで、時間内に問題を読んで解き終わる能力がないのが原因でした。
そこでTOEICの試験前には、時間の枠を常に意識しながら問題を解く訓練をしました。
そのおかげで、950点取れた時は、はじめてリーディングパートを時間内に解き終わりました(残り時間は1分弱)。
900点の大台を超えられたのは、正確さを損なわずにスピードアップすることを意識したおかげだと思います。

まとめ:

振り返ってみると、私の英語学習は、読む・聞く・書く・話すの4つについてバランスがとれていたと思います。
長期間継続するための工夫がうまく行ったことも大きいです。
語学を習得するには年単位の地道な作業が必要です。
「短期間でこの作業だけやればOK」なんて魔法はありません。
私がこの記事で紹介したことを参考にして、皆さんが自分なりの学習習慣を身に付けて頂ければ幸いです。
以上

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